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赤ちゃんが生まれてくる時に、オギャーオギャーと泣くのはこの世に出てくることを嫌がって
泣いているんだという事を言った人がいます。それほど、この世は苦しいことばかり多くて
楽しいこと等これっぽっちもないという事なのでしょう。
楽あれば苦あり、苦あれば楽ありと昔からいわれていますが、処世訓としては
そのとおりだと思いますが、忘れてはならい苦、終わることのない苦も厳然として存在
しています。それは別れの苦です。人は生を受けた瞬間から、あらゆるものと別れる
運命を背負わされています。生きることとは別れを受け入れることと同義かも知れません。
一期一会の精神を保つことは、人生の達人の最低の資格といった人がいますが、
一期一会のなかに、現世のエッセンスといますか秘められた摂理があるのでしょう。
この決して逃れられない別れの苦しみを背負って生きることが、自分の生を極限まで
真っ当できる試金石なのではないでしょうか。
この終わりのない苦も、時間の経過と共に薄れてはきますが、いつでも鮮明に蘇ることが
出来る特別なものです。私たちは、潜在的に現世での楽園を求めて試行錯誤を繰り返して
いますが、楽園を支える多くの苦を忘れてはなりません。
人にはさまざまな感性や五感が授けられていますが、御仏が人をして人たらしめるために
用意された「おわりのない苦」を見逃さずに、がっちりと受け止めてこころの糧にできるように
なれば、人生観、死生観も自ずと御仏のこころに叶うものになるでしょう。
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